痛い。痛いよ。今日は、鎖骨の下らへん。浅いけど、痛い。傷口からは真っ赤な血。この傷は、光秀様にやられたもの。今日だけじゃなくて、毎晩毎晩傷つけられる。足や腕や頬、いろんなところをあの鎌で。 光秀様はわたしの血と痛みを堪えた苦痛な表情が大好きだと言っていたから、わたしは何も言わないし、厭じゃない。だって、こんな形でも光秀様はわたしのことがすきって、いってるんだから。わたしの血を見て悦んでくれるなら、わたしはどこを斬られても構わないし、どんなに痛くても、涙を堪えて耐えてみせるわ。(それだけ、わたしは光秀様を愛してるんだ)
、痛いですか?痛いですよね?・・ククッッ・・・」
「いたい・・です・・」
そう微笑んでみせたけれど、ほんとは今にでも泣いてしまいそうだ。でも、それでは駄目。泣いて終わることではないし、弱い感じがして厭だから。
「本当は苦しいでしょう?ククク・・・わかりますよ、貴女の表情を見れば・・」
何でもわかります、と光秀様はわたしの傷口を舐めた。ひりひりして、痛くってちょっと声が出てしまったけど、光秀様はそれが嬉しかったのかクスクス笑ってる。部屋には明かりなんてないけれど、月の光が差していて光秀様ははっきりとみえる。
「あぁ・・の血はとても美味しいです・・・」
「光栄に思います・・」
狂った形だけれど、この人の愛のかたちなんだと、思う。それをわたしは受け止めなくてはいけない。逃げては駄目。こんなかたちでしか人を愛せなくなってしまった光秀様を、せめてわたしだけは理解したいと思う。(それが、わたしの愛のかたちなの、)
「月が綺麗ですね」
「ええ。まるで貴女のようだ」
月明かりに照らされた光秀様の顔は、なんだかとても寂しそうだった。
せめて、近くにいるわたしが、せいいっぱい愛したい、とおもった。
孤月に照らされる
(きっと寂しいんだわ)



-----------------

(080310)